統一会堂はベトナム戦争終結の最後の舞台となった元宮殿・大統領府

ホーチミン1区中心部にある統一会堂は、かつて存在した南ベトナム共和国の大統領府であり、元は宮殿として使用されたベトナム近代史の中で重要な意味を持つ建物です。ベトナム戦争終結となった豪華さと戦争の足跡が感じられる統一会館についてご紹介します。

統一会堂は、ホーチミン1区の中心地にある建物で、ベトナム政府によって歴史的意味を持つ国定記念物に指定されています。建物はフランス植民地時代に建設され、コーチシナのフランス総督によって使用されました。フランス撤収後は、1975年4月30日のサイゴン陥落まで、南ベトナムの独立宮殿、南ベトナム大統領府として使用され、現在は南ベトナム大統領府当時のままで保存された博物館として有料で一般公開されており、建物内の一部の部屋は国際会議などで使用されています。

ホーチミン1区の4月30日公園前のĐ. Nam Kỳ Khởi Nghĩa通りにあり、サイゴン大聖堂やドンコイ通りから歩いて行くことができます。

マップ

統一会堂は、1873年フランス植民地時代にノロドン宮殿の名称で建設され、1945年8月の第二次世界大戦が終結までフランス総督に使用されました。

フランス撤収後、南ベトナムによって独立宮殿と改名されましたが、ゴ・ディン・ジエム政権に対する反体制派のベトナム空軍の2人によって爆撃され、ひどく損傷受けてしまいます。建物は1962年にゴ・ディン・ディエム大統領によって修復作業が開始され、1966年に完成しました。設計はローマ修復賞を受賞した最初のベトナム人である建築家Ngo Viet Thuによるものです。

その後、南ベトナム大統領府として1975年4月30日のサイゴン陥落まで3代の大統領によって使用されました。

正面の門の横に入場口があります。

入場料(2024年4月時点)

大人:65.000 ドン

子供:15.000 ドン

350,000ドンでガイドをつけることができます。

ヘッドホンをつけてオーディオガイドを聞くことができます。

90,000ドン

中庭は大きな芝があり、中央には噴水があり撮影スポットになっています。

T-54戦車

ベトナム戦争終結の4月30日、サイゴン市内に突入した北ベトナム軍のソ連製T-54戦車が当時の南ベトナム大統領府であった現在の統一会館のフェンスを破って突入しました。まさに歴史が動いたその瞬間は世界に報道され衝撃を与えました。

F5E 戦闘機

1975年4月8日、ベトナム共産党員のグエン・タン・チュン中尉が南ベトナム共和国の空軍に密かに侵入し、この航空機で宮殿を爆撃しました。

1階

館内に入ると赤い絨毯が敷かれた正面階段があり、官邸であったことが感じられる重厚さがあります。

内閣会議室

グリーン系で統一され、古さを感じないミーティングルーム。

国賓用宴会場

100 名ものゲストが参加する国賓用晩餐会が開催されたホールです。1967年10月3日に行われたグエン ヴァン チュー大統領と副大統領のナウベン カオイの就任晩餐会は有名なパーティーの一つで、最後の国賓用晩餐会は、1975年3月1日にチュー大統領が、ベトナムに派遣された米国議会代表団のための晩餐会でした。

講堂

カンファレンスルームでは、500人ものゲストが集まり、新しい大統領の就任式にも使用されました。

2階

2階の廊下。天井が高く、窓はモダンな雰囲気を感じさせます。

大統領応接室

2室にわかれており、ベトナム共和国を象徴する縞模様、奥には玉座のような椅子があります。

ホール中央にある龍も文様の絨毯。

大統領執務室

グエン・ヴァン・ティウ南部共和国の大統領が使用していた執務室。

国家安全保障評議会室

大統領と上級将校、米国顧問との会議に使用された部屋です。

婦人用の非常に大きなクローゼットがあります。衣装の数も相当なものだったでしょう。

大統領ベッドルーム

西洋風ですが、家具のレリーフはアジアです。

リビングは当時のレトロなテレビやソファがあります。

3階

ゲームルーム

卓上ゲームなどがあります。

映写室

ミニシアターといった感じの部屋です。

バルコニーからの中庭の眺め。

大統領夫人応接室

ファーストレディーが集った応接室。

ヘリポート

優雅な館内とは一転して有事に備えてのヘリポートがあります。

大使室

1975年以前は、多くの国がサイゴンに大使館を置いており、新しく着任した大使は、外務大臣の立ち会いのもと、この部屋で大統領に信任状を提出しました。

4階

ダンスルーム

バー

地下階

地下は通常爆弾による空爆に耐えられるような構造となっており、建物外への脱出トンネルもあると言われています。

作戦司令室(緊急用)

大統領寝室(緊急用)

士官室

統一会堂は、噴水のある中央広場に入ったときから、その歴史と建物の持つ独特な空気を感じます。多くの観光客が記念撮影をしており、ホーチミンのその他の観光地と同じ光景を目にしますが、戦車と建物のコントラストは、ベトナム近代史の最も重要な瞬間が封じ込められており、激動の時代を切り取った場面が浮遊しているような不思議な気分にさせられます。館内も当時の宮殿としての雅な要素と、大統領府としての重厚で戦争が身近にある緊張感が混在しており見ごたえがあります。

統一会堂は今日のベトナムを形成する最も重要なターニングポイントの一つであり、歴史の生き証人のような存在といえます。ホーチミンを訪れた際は、是非足を運んでほしい場所の一つです。

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